おかげさまでありがとうございます。

 今月は、驕らないように気をつけていただきたいと思います。
 驕りというのは、非常に恐いものです。その心によって小さな穴があき、それがやがて大きなひびとなって崩壊を招きかねません。何かを得るというのは非常に時間がかかるものです。積み上げていく時間が必要になるからです。それに反して、何かを失う時というのは本当に一瞬です。気が付いた時には止められないスピードで壊れていきます。しかし、気が付かないだけで、本当は驕りの心が生まれた瞬間から崩壊は始まっているのだと思います。もう一つ恐いなと思うのが、驕りがあるという事を自分で認識しづらいことです。それに気付かず足元がぐらつき始め、気が付いた時には手遅れになるという事が往々にしてあるので気をつけていただきたいと思います。
 驕りの心が何故生まれるのかというと、人の苦言を素直に聞く謙虚さを失うからです。また驕りがある状態というのは、その人にとって良い状態の時でしょうから、その恵まれた状態を自分の力で勝ち取ったものだと錯覚するからです。生まれおちてからそれまでの神仏のご加護や、多くの人に支えられた事を忘れ、感謝の気持ちがなくなるからです。素直さと感謝を忘れるから驕りが生まれ、自分の身が危うくなっていくのです。良い状態であればあるほど驕らない様に、今一度自分の身を振り返っていただきたいと思います。

 また今月は新年度を迎え、進学進級、職場においても新しい環境にうつる方などおめでたい方が多くいらっしゃると思います。その方々には心から「おめでとうございます」とお伝えしたいと思います。そしてその方々には是非、この機会に神仏や今まで支えてくださった多くの人に感謝の言葉を述べる機会としていただきたいと思います。感謝は思うだけでなく、口に出すという事がとても大切です。その感謝が感謝を呼び、新年度が良い一年となる事を願っております。

 おかげさまでありがとうございます。

合掌

浅田 芳順

(令和六年四月一日 法話より)